現在,日本の農業は,農業従事者の高齢化,耕作放棄地の増加,食糧自給率の低下といった様々な問題点を抱えている.EU では政策目標として,レジリエンスを強化させることを掲げており,日本においても農業のレジリエンスを向上させていく事が,問題点の改善を促す助けにつながると考えられる.
本研究では,日本の農業従事者のレジリエンス,つまり頑健性,適応性,革新性,協調性の4つの指標に焦点を当て,それぞれのレジリエンス能力における農業従事者の特性を詳細に調査することを目的としている.そのために,農家のレジリエンス能力を測定する調査を実施した.サーベイデータをもとに因子分析を用いて4つの指標を測る質問の妥当性を確認した後,潜在プロファイル分析を行い,回答者をレジリエンス能力の高さに基づいてグループ分けした.また,各グループが重視する農地の機能,農業に関連する課題に対する困難度,リスクへの対応態度などをクラスカル・ウォリス検定および順位和検定を利用して抽出した.その結果,レジリエンス能力が高い農業従事者は, 農業経営における数学と確率を考えることが得意であるという特性を持っていることが明らかになった.本研究の成果は,持続可能な農業を維持するためのレジリエンス向上策の策定に対する有益な知見を提供できると考えられる.
学会名
第60回日本地域学会年次大会
発表タイトル
日本の農業従事者の潜在的レジリエンス評価
著者名
玉井 和輝・白沢 直人・徐 維那
DOI
proceedings2023.pdf (jsrsai.jp)
引用
玉井和輝、白沢直人、徐維那(2023)日本の農業従事者の潜在的レジリエンス評価、第60回日本地域学会年次大会発表論文集